「オダヤカナヒ」その3

宮崎県に突入

朝、JR九州の新型特急電車でおなじみの3打点チャイムで目が覚める。
「おはようございます。夜行列車の長旅、お疲れ様です。」
自動放送による声とはいえ、JRグループの夜行列車でこんな細やかな気配りをするアナウンスをする列車は他にないと思う。この「おはよう放送」が流れたということは、列車はまもなく延岡に着くということ。この旅もついに宮崎県へと入った。朝焼けの日向灘を見ながら旅ができるのは夜行列車ならでは。都農付近では宮崎リニア実験線の跡が見えた。

6:25、宮崎着。このあと日南線に乗る予定だが、このまま宮崎空港まで乗って南宮崎へ折り返しても間に合うので、終点の宮崎空港まで乗り通すことにする。

南宮崎日南線に入り、田吉の先で日南線から分岐して宮崎空港線に入ると、左に大きくカーブして6:35、終点の宮崎空港に到着。8分の折り返し時間の間に、宮崎空港駅の駅舎を撮影。駅の自販機で、最近になって全国展開を果たしたマックスコーヒーが普通に売られていて何だかなあと思ったが、つい買ってしまう。


6:43発の南宮崎行き普通列車で折り返す。先ほど乗ってきた「ドリームにちりん」の折り返しとなる783系で、車庫入れを兼ねて客扱いをしているのだろう。先頭車が普通車なので、わずかな5分間だが前面展望を楽しむ。今気が付いたけど、グリーン車も無料開放だったのか。

日南線

南宮崎6:56発の日南線、油津行きに乗り継ぐ。空いているかと思った予想は外れ、空のボックス席はなく意外と乗っている。油津では36分の小休止の後、志布志行きに接続する。日南線は12年前に青島を訪れた際に乗ったことがあるが、青島から先は「はじめて」となる。
青島を出ると地形が山がちとなり、トンネルが増えてくる。南宮崎時点で乗っている客がいつまでたっても降りないので、どこまで乗るのか気になっていたが、終点の油津を前にした飫肥や日南で大勢降りていった。日南は市としての規模を持つこともあり、県都である宮崎市との結びつきも強いようだ。
日南ですっかりがら空きになった後、8:12、油津着。


志布志行き列車に乗り継ぐ36分の間に朝食を調達しようと思い、駅前通りを歩くと、交差点の角にコンビニを発見。「エブリワン」という初めて聞く名前の店だったが、後刻調べてみると、熊本に本拠を置き、九州でチェーン展開しているらしい。おにぎりとメンチカツを買って油津駅へ戻る。

油津駅近くで、こんな自販機があった。



宮崎県農協果汁株式会社「サンA」という会社の商品だけを置いている自販機。東国原知事のイラストも描かれている。120円の「日向夏ドリンク」を買ってみる。飲んでみると結構美味しい。サンAの公式サイトで通販もやっているので、興味のある人は注文してはいかがだろう。それにしても日向夏というとサクサクを思い出すなあ(笑)。

油津で志布志行きの列車に乗り込む。日向灘を眺められるよう、進行方向左側のボックス席を確保する。九州では今もサボが現役だが、先ほど乗ってきた列車のサボを見ると…、

昔は岡山の115系でもよく見られた、行先をかぎ型矢印で結んだサボが九州では未だに見られるとは! しかしこのサボ、取り替える手間は省けるかもしれないが、利用客にとってはぱっと見ただけでは行先が分からないので、不親切ではなかろうか。


8:48に油津を発車。南郷までは日向灘と寄り添いながらの旅が続くが、その先は山間の風景となる。日向大束までは起きていたのだが、「フリソソグヒカリ」の誘惑に負けて、串間駅を通った記憶がない。気がついたら福島今町。この辺りから山が志布志湾に迫る地形となり、木々の合間から志布志湾を見通せる。

志布志の一つ手前、大隅夏井からは鹿児島県に入る。平地に入って志布志湾が間近に見通せるようになると、10:06、終点の志布志着。ついに日南線完乗。


宮崎県の延長という感じが強く、鹿児島県に来たという実感があまりなかったが、駅の近くにある志布志郵便局で貯金をすると取扱局番号の上2桁が78であることから、ここが鹿児島県であることを教えてくれる。

バスで都城

志布志駅の前を通る国道にあるバス停から都城へ抜けるバスがあったので、それに乗る。このバスは土休日だと運休だったが、今日はGWの合間の平日だったので、しぶしぶ志布志から日南線で引き返すことなく(爆)、バスに乗ることが出来た。もちろんこれは当初から計画に織り込み済み。乗客は僕以外に数人だが皆地元客なので、僕は浮いている感じがした。11時の時報とともに運転手がNHKラジオのニュースを流すのには驚いてしまった。
バスは西都城駅にも立ち寄り、時刻表を調べると11:57発の宮崎行き特急「きりしま6号」に乗り継げることが分かったので、ここで下車する。西都城駅は高架駅だが、新幹線の駅と見違えてしまった。

「きりしま6号」で宮崎市内へ

西都城から乗車した「きりしま6号」は485系の3両編成。やたらとカラフルな塗装はかつて「ハウステンボス」で使われていた車両。この界隈の日豊本線は線形に手が加えられておらず、交換設備のある駅では速度を落としてよたよたと通過していく。車内販売もなく、ローカル特急の風情。都城を出ると清武まで40分以上客扱いのある停車はない。青井岳付近ではかなり高いところを走る。12:50、南宮崎着。

大淀川鉄橋で撮影

あとは宮崎−南宮崎間の大淀川鉄橋にて列車の撮影に徹することになる。その前に南宮崎駅のほど近くにある宮交シティ内郵便局と、宮崎城ヶ崎郵便局を拾っておく。


撮影地である川の堤防にはフェニックスの木が立っている。宮崎らしい光景。


817系。南九州でもすっかりこの車両は定着した。


485系K&H塗装。もとは「ハウステンボス」。


485系レッドエクスプレス。


日南線色のキハ140。手前の車両は汚れてますね…。


急行形電車の車体更新車である717系200番台。


457系の車体中央に両引き扉を増設して3扉化した717系900番台。


忘れちゃいけない713系「おっ!サンシャイン」。車体に描かれている太陽を見ると脳内で神戸の某U局のマスコットに変換されてしまう(爆)

大淀川を見ながら、まったりと2時間撮影していた。撮影中に地元のおじいさんが通りがかって、「機関車が引かんと面白うなかとね?」とも言われたなあ。意外に本数が多く、多彩な顔ぶれがやってくるので、撮影していて全然飽きなかったけど。
南宮崎から817系で宮崎へ。南宮崎では列車接近時に「カラカラベル」が鳴り、これを聴くと九州にいる実感がわく。

いったん入庫

まだ17時台で十分明るいが、いったん今晩のお宿、宮崎駅前の毎度おなじみ「1045」こと東横インにチェックインし、余分な荷物を部屋に置いて、再出庫。

宮崎県庁探訪〜夕食



宮崎駅は1993年に高架化されて、すっかり近代的な装いに。改札口は上下線で別々になっている。ヤクルトの青木も宮崎出身なのね。


18時まで貯金可能なゆうちょ銀行宮崎店を拾った後、宮崎県庁に行ってみた。県庁の向かいにある「みやざき物産館」で東国原知事のクリアファイルを買った。


宮崎駅内にあるレストランで宮崎産鶏の粗引きハンバーグが100円引きだったので、そこで夕食。なんというグルメツアー。まあ、今回みたいに遠いところを旅行している時は、美味いものを食べない方が損だと思いますが。
それにしても、20時を回ると人通りが少なくなって驚いた。いくら地方だとは言っても、ねえ。

駅内のコンビニ「生活列車」でおつまみを買い、宿へ戻って高級ジュースを買い、自室へ入る。飲料は東横インの自販機の方がコンビニよりも安い。自室の窓からは日豊本線の列車が見える絶好のトレインビュー。一通りの身の回りの整理を終えて、おつまみ片手に高級ジュースを飲みながらくつろぐ。ベッドに座ってしばらく窓から列車を眺めていた。…あれれ、途中で意識が。

(続く)