名鉄めぐり

普段、岐阜へ行くなら「のぞみ」か「ひかり」に名古屋まで乗って、東海道本線に乗り換えるが(「ムーンライトながら」という手もあるけど)、今回の目的のひとつは名鉄めぐりなので、名鉄名古屋本線に乗り換えるため豊橋で下車した。豊橋駅の窓口で、名鉄全線が3800円で2日間乗り放題の「名鉄電車2DAYフリーきっぷ」と、11:02発の快速特急の特別車両券(ミューチケット)を買う。特別車両券とはJRの指定席券と同じようなもの。JRでいうところの自由席車、指定席車は、名鉄ではそれぞれ「一般車」、「特別車」と称する。一般車は転換式クロスシート、特別車はリクライニングシートを備える。指定された特別車の席に座り、11:02、豊橋を発車。

さて、名鉄豊橋駅JR東海豊橋駅に「間借り」していて、1〜8番線のうち名鉄に割り当てられているのは3番線の1線だけ。しかも、豊橋から平井信号場*1までJR飯田線と線路を共用している。このために名鉄飯田線ともこの共用区間への乗り入れは毎時6本という制限が課せられていて、名鉄は6本とも速達列車のみしか入れられない。名鉄スジ屋はずいぶんと苦労するだろうということを、このあと岐阜到着時にも知ることとなる。快速特急豊橋を出ると東岡崎知立(ちりゅう)、神宮前、金山、名鉄名古屋国府宮名鉄一宮、終点の名鉄岐阜に停車する。これまでJR東海道本線ばかり乗ってきたので気付かなかったが、豊橋寄りではJRに比べて名鉄はずいぶん山寄りを走っているなと思った。知立まで来ると、開けた街並みが広がってきた。リクライニングシートの特別車は快適。350円の追加で乗れるのだからありがたい。車内のLEDに時折、現在の速度も示される。

しかし現実に目を向ければ、名古屋−豊橋間はJRと互角だが、名古屋−岐阜間となると名鉄はかなり不利だなということを列車に乗っていても実感する。飛ばすところは最高120km/hで飛ばすのだけれど、名鉄名古屋を出た列車は犬山線が分岐する所に急曲線があり、速度を出せない。岐阜県に入っても急曲線、さらに名鉄岐阜の手前でなぜか一瞬単線になっている。JR東海の新快速に乗れば、名古屋を出ると全速力で突っ走り、岐阜には18分で到着する。一方、名鉄特急は名鉄名古屋名鉄岐阜間に26分を要する。JRなら普通列車でも同等の時間で走り抜く。運賃も名古屋−豊橋間はJRが1280円、名鉄が1080円で名鉄有利だが、名古屋−岐阜間はJRが450円、名鉄が540円で形勢が逆転してしまう。名古屋−豊橋間の場合、JRと名鉄はある程度の距離があるので棲み分けが出来ているけど、名古屋−岐阜間はほぼ完全に並行している。おまけに岐阜方の場合、岐阜を超えて大垣まで通勤圏が広がっているというのもJRが有利。

木曽川橋梁を渡って岐阜県に入ると、右手に笠松競馬が見えた。南から回り込んでJRと直交する形で、12:16に名鉄岐阜へ到着。これまでずっと、岐阜へ来る時はJR岐阜駅へ降り立っていたのでちょっと違和感があった。何はともあれ、TZN'EXはついに岐阜へ降り立った。岐阜へ来るのは昨年6月以来4度目。

名鉄岐阜にて名鉄3150系(左)、1000系の並び。

名鉄ではつい先日の1/29、以下の通り駅名の改称を行った。
新名古屋名鉄名古屋、新一宮→名鉄一宮新岐阜名鉄岐阜
岐阜の方もそうだと思うけど、名鉄の岐阜駅は「新岐阜」で完全に定着していたので、今まで馴染んできた名称が急に変わると、なんか違和感を感じた。そういえば、山口県小郡駅も「のぞみ」停車を機に新山口駅と改称したが、ここも小郡の印象が強すぎてなんか馴染まない。

改札を出て、名鉄岐阜市内線乗り場へ向かう。

新岐阜駅前にて。
新岐阜名鉄岐阜に改称されたが、岐阜市内線の電停名は新岐阜駅前のままとなった。今年の3月31日の営業をもって廃止となるので、あえて変えるまでもないと判断したのだろう。岐阜市内線のすごいところは、電停に安全地帯がなく、道路上に緑色で塗られた乗り場から直接乗り降りすること。新岐阜駅前から乗車し、美濃町線に乗り換えるため徹明町で下車したが、何度利用してもこれはスリリング(笑)。
さて、美濃町線に乗り換えようとしたがちょうど電車が出てしまった後で、次の電車まで1時間ないことが判明。仕方ないので、田神線が合流する競輪場前まで、東西通りを歩くことに。すると、途中でネタを発見。

熊田医院に熊田酒店。立て続けに熊田と名乗る病院や商店に出くわすと、やはり岐阜は曜子ちゃんの地元だということを否応なく実感する(笑)。岐阜は熊田さんが多いのだろうか。

東西通りを歩いていくと、梅林公園を通った。そういえば曜子ちゃんが雑誌で「梅林公園の梅はきれいですよ。」と言ってたな。まだ2月で時期が早いかもしれないけど、ちょっと寄ってみますか。


↑梅林公園に寄ってみると、まだ満開には早いがすでに梅は咲いていた。ついつい、写真を撮ってしまう。

↑さらに公園の奥へ行くと、なんとデゴイチが保存されていた。

美濃町線に乗り遅れたのが幸いし(?)、梅林公園で思わぬネタを収穫。
競輪場前から美濃町線に乗車。やって来たのは古くて華奢な電車。でも、転換クロスシート付き。釣り掛けモーターを唸らせて走る。沿線には鉄道ファンの姿をちらほら。車内にも。やはりこの3連休を使って岐阜へ行こうという発想は、鉄道ファンは同じか。
美濃町線の面白いところは、線路と道路の境界があいまいな場所があること。昨年も乗ったが、この光景に驚いたものだ。よく事故が起きなかったなと。岐阜市と関市の市境にあたる区間はものすごい田舎になり、これにもまたビビッた。
車内は結構混んでいて、電車の終点である新関駅の2つ手前の、赤土坂に来てようやく座れた。

新岐阜名鉄岐阜に改称されたので、行先板は「新」の字を埋めましたということがハッキリ解る。
関市内をぶらりと歩いた後、再び新関駅へ戻って硬券の入場券を買う。今時、硬券が残っている駅も少なくなった。新関駅から美濃町線の終点・関まで足を伸ばしたあと、岐阜へ折り返す。美濃町線は以前であれば、文字通り美濃が終点だったが、1999年に新関−関間に長良川鉄道に接続する連絡線を新設したのと引き換えに、長良川鉄道と並行する新関−美濃間は廃止されてしまった。

長良川鉄道気動車と「共演」。こんな光景も、3月限りで見られなくなる。

*1:JR飯田線では下地−小坂井間