愛するものが去り行くとき


対象が人であれ物であれ、こんなときほど切ないものはないだろう。
岡山出身で瀬戸大橋線沿線で育った僕にとって、当時の快速「マリンライナー」に使用されていた213系が2003年9月30日限りで引退し、JR西日本223系5000番台とJR四国5000系にその座を明け渡したときがそうだった。1988年の瀬戸大橋線開通以来、15年に渡り見てきており、岡山への通学やお出かけに、四国へのレジャーにと、何度も乗った車両だった。213系運転最終日の2003年9月30日にお別れセレモニーがあったかというとそんなことは全く無く、クモハ213-2に引退記念ステッカーが貼り付けられただけで、213系はひっそりと「マリンライナー」の座を降りた。ファンの姿もそう多くなかった。同じ日に岡山−鳥取間を結ぶ「いなば」に使用されていたキハ181系も引退しており、そちらの方にファンは殺到していた。
後継の223系5000番台・5000系は2階建て車両を除いて新快速と色が全く同じというのはどうかと思うが、さりとて岡山にとっては待望の新型車両で、しかも223系。瀬戸大橋線に新しい風を吹き込んだ存在であることは間違いない。213系もグリーン車と一部のサハが廃車になったものの、残った車両は岡山地区のローカル列車に転用されて新たな活躍を始めた。
始まりと終わりはいつも同じところにあるのだろうか。