決して忘れてはならない日

JR福知山線脱線事故から今日でちょうど1年が経過した。鉄道が好きな人間としても大変衝撃的な出来事だった。最初にこの報道に気付いたのは仕事の休憩中にYahoo!のニュースを見ていたときだったが、この時点では踏切事故と言われていたため、大した事故ではないだろうと高をくくっていた。しかし帰宅して、ニュースで現場の様子を見て絶句した。

「ウソだろ…。」

見慣れた207系が無残な姿に! 特に2両目は原形をとどめないほどに…。
岡山出身の僕はこれまで関西に何度も足を運んでおり、アーバンネットワークにも何度となく乗っている。そしてそのアーバンネットワークこそ、自分の鉄道趣味における最も好きな分野である。207系にもよく乗り、撮影もしてきた。この車両は通勤形でありながらも幅の広い車体を採用し、個人的にも好きな車両なのに…。夢なら覚めて欲しいと思ったが、次第に増えてゆく死者の数…。

207系はもともと濃淡ブルーの帯を巻いていたが、今ではオレンジ色と紺色の帯に変更されている。これは昨年12月にデビューした321系の帯色に合わせたためでもあるが、もともとは321系207系に合わせた濃淡ブルーの帯を巻いたデザインになる予定だった。しかし脱線事故を受け、その色では事故を思い出すという遺族や負傷者、利用者の声を受けて今の色(今日の見出し画像参照)に変更された経緯がある。確かに事故の悪い印象を払拭する意味で色を変えるのは理にかなっているかもしれないが、色を変えることでかえって事故のことを思い出してしまうのも事実。さりとて207系を全車廃車にするのも現実的な話ではないし。また、321系は事故を受けて先頭車を両端とも電動車にしたと一部で言われているが、これは安定した走行ができるようにモーターを分散配置する発想によるもので、事故とは直接関係しない。

事故原因はカーブでの速度超過という見方が大半だが、運転士が死亡してしまい詳細な原因を特定するのは困難になってしまった。先頭車両から奇跡的に助かった乗客の証言が事故原因究明の一助になることを願う。

関西は不況で元気がないと言われている。JR西日本は本来、関西はもとより西日本の発展のためにリーダーシップを取るべき企業のはずである。その同社がこんな状態では、ますます関西の元気がなくなっていきそうに思う。

JR宝塚線の復旧後、僕も3度、列車で現場のカーブを通過しているが、運転士も意識してか制限60km/h(事故前は70km/hだった)よりもさらに低い速度で通過しているのが印象に残っている。ただ、ゆっくり走るのがかえって不気味でもあった。

今年の4月1日、JR西日本は安全の確保を前面に押し出した新たな「企業理念」および「安全憲章」を施行した。これが単なるお経でないことを願う。乗客106名の命はもう帰って来ない。「公約守らなくても大したことない」と言ったどこかの総理大臣のようにはなって欲しくない。