JR九州とやっぱり愉快な列車たち(1)

8/15〜8/19まで、夏休みを利用しGWに引き続き九州へ行ってきました。今回はいわばGWに続く九州旅行第2期です。前回は3泊4日でしたが、今回は1日延ばして4泊5日。周遊きっぷの有効期間を目いっぱい活用した旅となりました。

序章

今回はいったん岡山に帰省し、岡山発着で旅行した。
第1期の九州旅行「オダヤカナヒ」から3ヶ月余りしか経っていないにもかかわらず、なぜ早々と2期を計画したのかと言えば、やはり今年6月に入会した「エクスプレス予約」の存在が大きい。「エクスプレス予約」なら岡山−博多のe特急券が3530円(「のぞみ」「ひかり」「こだま」同額)で、8月にまともに「ひかり」の指定券を買うと繁忙期で200円増しとなり5120円もするので、差額は1590円。これは大きい。この価格に惹かれ、エクスプレス予約をフルに活用する意味でも、そして1期の「オダヤカナヒ」で回り切れなかったところに行きたいということもあり、夏休みに2期を実行することとなった。
「失った時間は決して取り戻すことは出来ないのよ。だから今やるの。このたった一度きりの2009年の夏休みに!」

スタートは「ひかりレールスター

前夜は日付が変わる前には就寝したが、旅立ちに向けて気分が高まっていたのか深夜2時には目が覚めてしまった。結局そのまま寝付けず、朝5:30には着替えて準備をする。当初は岡山7:16発の「ひかりレールスター543号」を予約していたが、ケータイからエクスプレス予約にアクセスし、席番リクエストで1本前の、「ひかりレールスター541号」のオフィスシートに空きがあることを確認して変更。列車の出発前かつ切符の受け取り前なら、何度でも無手数料で変更可能なのはエクスプレス予約の強み。
実家の最寄り駅から快速「マリンライナー4号」に乗る前に、みどりの券売機でe特急券を受け取る「儀式」を済ませ、岡山駅で新幹線ホームに上がる。


ひかりレールスター541号」の前には「のぞみ601号」も出ており、これなら25分早く博多に到着できたが、山陽新幹線のみの利用なら4列席でゆとりのある「ひかりレールスター」の指定席に乗る方が断然おトク。指定席の最前部の席が先述したオフィスシートで、大型テーブルとコンセントを備えている。最前部の席は壁際なので窮屈と評する向きもあるが、ケータイの充電をしておきたかったのと、まだ乗ったことがなく一度乗りたかったので、あえて選択した。
ひかりレールスター541号」は定刻通り、6:57に岡山を出発した。指定された7号車のオフィスシートに座る。やはり4列シートの指定席は快適。

天気予報で覚悟はしていたが、西へ向かうにつれて天気が悪くなり、山口県に入ると雨が降ってきた。福岡の天気予報も芳しくなく、当初は午前中に原田で撮影を予定していたのだが、前日に急遽予定を組み直し、2日目に予定していた唐津線筑肥線筑肥西線)の乗車をこの日に繰り上げることとした。

新下関を通過して新関門トンネルに入り、九州の地を踏んで8:36に小倉着。岡山から新幹線に乗ると九州は確かに近い。学生時代、九州は夜行ではるばる向かうところという認識があり、事実「ムーンライト九州」で九州入りすることがほとんどだったから、2時間足らずであっけなく九州に着いてしまう新幹線の速さに驚いてしまう。博多には8:54着。9分停車の後、この列車がそのまま博多南線の列車となる。

博多南線


この後乗る予定の列車は10:01発の「かもめ13号」で、博多南線を往復しても間に合う。したがって先に同線に乗っておくことにした。いわば九州一周の「前哨戦」。周遊きっぷの九州ゾーンは博多南線がゾーンに含まれないので、9分停車の間に改札を出て、窓口で博多−博多南の往復乗車券(190円×2)と、往復の特定特急券(100円×2)を買い求める。博多南線は博多総合車両所への回送線を旅客線化したもので、設備も車両も新幹線そのものであるが、営業上は在来線特急列車の扱い。以前、「新幹線に290円で乗れる区間がある」と、TV番組「トリビアの泉」でも紹介された。

全車自由席なのと、乗車記録を書くのが面倒だったので(爆)、引き続き7号車に座った。高架線からすっかり市街化された景色を見やりながら進む。外は天気雨。9:13に博多南着。路線は山陽新幹線と同じくJR西日本の所属だが、駅業務はJR九州に委託されている。国鉄改革法の「九州内の在来線はJR九州が経営する」という取り決めに関連して、JR九州が営業権を行使しているようだ。

乗ってきた列車がそのまま、折り返し9:34発の博多行2814Aとなる。


博多南駅の駅舎。


博多南駅前にそびえ立つ、建設中の九州新幹線

博多総合車両所の所在する那珂川町の人にとって博多南線の開業前は、博多へ出るには西鉄バスしか交通手段がなく1時間程度を要していたが、博多南線によってそれが10分程度に短縮された。今では列車によって「ひかりレールスター」の700系7000番台や、「こだま」用の500系8両編成も使われるので、ずいぶんと豪華な生活列車に映る。それにしても、折り返しの2814Aでは座席を回転せず、後ろ向きのままで乗っている人が多いのには驚いた。地元の人にとっては高々10分の乗車時間で乗り慣れた列車でもあり、わざわざ座席を回転せずとも困らないのだろう。

博多駅の在来線乗換え口を通り、在来線ホームに出る。いよいよ、本格的な九州の旅が始まる。

かもめ7号

博多10:01発の「白いかもめ」で運転される「かもめ7号」に乗る。長崎方面の特急は「2枚きっぷ」「4枚きっぷ」が浸透していることもあり、博多−佐賀間の自由席は慢性的に混んでいる印象があるが、この日もその例に漏れず、自由席は発車15分前の時点でかなりの行列。座れるか不安だったがそれは杞憂で、進行方向右側の窓側席を確保できた。あの3点チャイムを聴くと、九州に来た実感がわいてくる。
博多から下るにつれて天気は悪くなり、二日市を過ぎると厚い雲に覆われ、雨が降り出した。これでは到底、本日の撮影はかなわない。ひとまず計画を変更して正解。しかし、鳥栖を出て長崎本線に入ると幾分天気は持ち直し、10:36に佐賀へ到着すると、雲は多いものの晴れ間が見えていた。よく分からない天気だ…。



♪SAGA佐賀〜

唐津線


佐賀11:06発の唐津線5837Dに乗り換える。キハ47の2両編成。唐津線は僕がまだ高校2年だった13年前、1996年の年末に乗車したことがあるが、なぜか最後の1駅間である唐津西唐津間に乗車しておらず、そのまま博多方面の筑肥線に乗り換えてしまった。どうして唐津西唐津を残したのか、当時のTZN'EX少年に問いたいものだ。


唐津線に乗る前に、817系+813系の長崎本線普通列車を撮影。

5837Dは11:06の定刻に佐賀を出発。各ボックスに1〜2人が乗る程度の乗り具合。2駅先の久保田までは長崎本線を辿った後、唐津線に入って右カーブを切って北上する。田園風景の中を進むが、多久まではそこそこ家並が多い。朝夕は佐賀−多久の区間列車が設定されているので、同区間はそこそこ利用があるのだろう。事実、5837Dも多久で乗車率に段差が付いた。

多久を過ぎて、右手にゴルフ場を見やった後、笹原峠を越える。次の駅は難読駅名の厳木(きゅうらぎ)。厳木ではぜひ見ておきたいものがある。


厳木駅に今も残るSL時代の給水塔。

厳木を過ぎると厳木川と絡み合うように進み、本牟田部の手前で筑肥線の線路が寄り添ってくると、今度は車窓右手に松浦川が見えるようになる。


唐津の1駅手前、鬼塚では間近に松浦川を見渡せる。

鬼塚を過ぎて高架線に上がり、右手に筑肥線だけの和多田駅を見て、唐津に到着する。そのまま高架線を進み、右手に唐津城を見て、しばらくして地平に降りると西唐津着。これで唐津線完乗。13年来の課題がようやく片付いた(爆)。駅の奥には唐津運輸センターが見え、筑肥線の電化区間で使われる103系1500番台や303系が見える。5837Dは程なくして車庫に引き上げていった。

西唐津から唐津まで「後ろをBACK」。12:35発の筑肥線・338Cを待つ。やって来たのは…、


水戸岡先生のデザインにより見事に変身した103系1500番台(爆)。
103系1500番台の投入時期は201系とほぼ同じ。そのため、内装は201系に酷似していた。

唐津からは12:53発の筑肥線2531Dに乗り換える。15分時間があるので、この間に売店で昼の弁当を調達。

筑肥線筑肥西線


2531Dはキハ125の単行だった。キハ125はJR九州が新製したローカル線向けの気動車。黄色一色の車体に、JR九州お得意のレタリングが散りばめられ、その中で大きく「Y-DC125」と記されている。「イエローワンマンディーゼルカー」の略。外観は随分とにぎやかだが、車内の内装はグレー基調であり、豹柄で青地のボックス席が並んでいる。一方で座席の上にあるバス用のクーラーは軽快気動車を特徴付けるアイテム。

2531Dは唐津線5840Dからの接続を受けて、12:53発に唐津を出発。山本までは先ほど乗った唐津線の巻き戻しだが、その山本では興味深いダイヤが見られる。唐津で5840Dからの接続を受けた2531Dは、山本で7分ほど停車する。この間に5840Dが追いつき、2531Dに2分先行して発車する。山本から先、唐津線筑肥線が分かれるまでの区間は両線の単線並列になっており、5840Dの後を追うように発車した2531Dは、山本の次、唐津線だけにホームがある本牟田部に停車中の5840Dを追い抜いていくのである。

本牟田部で5840Dを追い抜き、右カーブで坂を上がり唐津線をオーバークロスすると、人家もまばらな緑濃い景色の中をひたすら進んでいく。一口に筑肥線と言っても、電化され福岡市営地下鉄とも直通する電化区間と、山本以西の非電化区間では路線の性格がまるで違う。

2531Dはワンマン列車であるものの、夏休みだからか改札要員の車掌さんも乗務していた。肥前長野で地元の中学生か高校生と思しき男子が二人乗って来たが、車掌さんはちゃっかり彼らに対して乗車券の販売をしていた。放っておくと運賃の取りこぼしは確実だろう。


13:50に伊万里着。このまま折り返すと大変なので、410円の乗車券を買って、松浦鉄道に乗って有田へ抜ける。


伊万里駅


松浦鉄道伊万里駅で並ぶ気動車

みどり18号・ハウステンボス18号

有田から14:38発の「みどり18号・ハウステンボス18号」に乗り継ぐ。佐世保方面の特急は大して混まないので、余裕で座れると高をくくっていたが、自由席のデッキに入ると立客が…。この日は8月15日、お盆のUターンラッシュがピークを迎える時期。佐賀で始発の臨時「かもめ92号」があることを確認して、下車する。この後は香椎線に乗る予定だが、20分おきに列車が来る都市型の路線なので、少し時間が繰り下がってもなんら影響はない。

「かもめ92号」

「かもめ92号」が出るまでは30分の余裕がある。この間に、翌日に乗る予定の九州新幹線「つばめ」の指定をMV端末で確保しておく。
佐賀始発ということもあって「かもめ92号」は余裕で自由席に座れ、しかも最前部の席を確保できた。臨時列車で列車情報が入力されていないのか自動放送は流れず、博多到着前には「浪漫鉄道」のBGMが長いこと流れていた。

香椎線


博多から香椎までを813系の準快速でつなぎ、香椎17:01発の香椎線西戸崎行き768Dに乗り換える。日の長い時期だからこそ、この時間帯でも乗り潰しができる。
さて、香椎線香椎駅の前後両方に分岐していて、しかも両端とも接続路線がない行き止まり式の路線のため、どう乗るかちょっと悩むが、西戸崎へ向かった後はそのまま折り返して終点の宇美へ向かい、今度は宇美から長者原へ「後ろをBACK」して、福北ゆたか線で博多へ抜けることにした。
香椎−西戸崎間は海の中道を通ることもあり、「海の中道線」の愛称がある。雁ノ巣までは住宅地の中を走って行くが、そこを過ぎると家並は途切れ、海の中道に入ってゆく。太陽が出ていれば夕焼けがきれいなのだろうが、あいにくこの日は曇りがちで、雲間から日が差す程度。


西戸崎には17:28着。5分後の17:33発773Dで、宇美へ向かう。昔、友人が「♪恋のダンス西戸崎〜 宇!美!」という替え歌を作っていたのを思い出した(爆)
香椎までは先ほどの巻き戻しになるが、海ノ中道で行楽客がどっと押し寄せて来た。香椎で一気に降りて、以後は落ち着いた。香椎−宇美間は田畑と住宅が入り混じる典型的なベッドタウンの路線なので、景色はどちらかと言うと単調。寝不足とほぼ1日列車に乗り続けてさすがにバテてきたが、18:35に宇美着。



宇美(うみ)といっても海はありません(爆)


宇美駅の駅舎。


宇美駅でプツリと途切れる線路。

宇美18:50発の782Dで「後ろをBACK」。長者原福北ゆたか線に乗り換える前に、香椎線ホームにてチェックしたいものがある。


香椎線に対して福北ゆたか線からの接続待ちを指示する表示灯。JR九州でもここだけの設備の由。
長者原で19:14発の4661Hを待つと、やって来たのは817系4両編成。一番後ろの車に空席があるのを見つけ、革の枕に身をゆだねて博多へ戻った。博多駅のコンコースでは今日もお巡りさんが立っていて、一人ひとりに挨拶をしている*1のが印象的だ。
この後、「ドリームにちりん」に乗るため、どこかで風呂に入っておく必要があるが、南福岡駅の近くにスーパー銭湯極楽湯」があるのを知っているので、そこで一風呂浴びてきた。

夕食


1期でも岡山へ帰る前に食べた、博多駅の地下街にある「ラーメン亭」に行こうとしたが、時刻はすでに21時を回っており、地下街の店はほとんど閉まっていて、「ラーメン亭」も営業終了。仕方ないので駅周辺を探した結果、7年前にも行った「龍々軒」で落ち着く結果に。とんこつラーメンが500円で、替え玉無料なのは嬉しいが、個人的にはもう一つインパクトに欠ける。替え玉をバリで頼んだら、店員さんに「どっから来たと?」と聞かれて、岡山と答えたら、「よう知っとうね」と言われた。

ドリームにちりん


再び博多駅へ戻り、売店で燃料とおつまみを買い込み、ホームで「ドリームにちりん」を待つ。今回は指定席を取っていないので、自由席に並んだ。お盆なので混むかなと思い、少し早めに来たけど誰もおらず拍子抜け。小倉までは先頭車となる、5号車B室最前部の席を余裕で確保できた。783系は中央にデッキがあり、A室とB室に分かれているので案内が大変だ。
席につくとすぐに車内改札が始まる。車掌さんの名札を見たら「九州交通企画」と書いてある。委託の人なのか。そういえば去年、篠山口以北の福知山線に乗ったときにも、なぜか青いストライプシャツにベージュのズボンという、JR西日本の旧制服を着た特改の車掌がいたけれど、その人も委託の人だったらしい。各社とも特改要員は委託の人に任せる傾向があるのだろうか。
22:52、博多を発車。通路を挟んで隣の席にいるゴスロリの女性4人組が気にかかる。僕はさっそく燃料を補充し(爆)、闇に包まれているが小倉まで前面展望を楽しむ。小倉で進行方向が変わるので、座席を転換。小倉発車後の「おやすみ放送」が流れた後、燃料が回ったせいもあるのか行橋に着いた記憶すらなく、眠りについていたようだ。

(続く)