JR四国をめぐる冒険(その1)

僕の誕生月が9月なので、シルバーウィークの前半3日間を使ってJR四国の「バースデイきっぷ」で四国を回ってきました。実家が瀬戸大橋線沿線なので、日帰り3回で。この切符は誕生月の連続する3日間、JR四国および土佐くろしお鉄道全線のグリーン車が10000円ポッキリで乗り放題なので大変お得です。

【注】ここに掲載している列車の画像は必ずしも今回の旅行中に撮影したものとは限りません。

しおかぜ1号・いしづち5号


↑この日乗った「いしづち5号」に充当された8000系のトップナンバー・L1編成。この編成は岡山方先頭車となる8000形の連結器カバーが左右に開く(他はボルトで固定)ようになっているという特徴がある。
6:00に起床し、妹尾7:19発の快速「マリンライナー7号」に乗り、児島で松山行きの特急「しおかぜ1号」に乗り換え。8000系のモノクラス3両編成。次の宇多津で高松から併結される「いしづち5号」のグリーン車に移るので指定席は取っておらず、自由席に乗車。窓側はすべて埋まっており、通路側に着席。8000系は基本的に5両編成が「しおかぜ」、3両編成が「いしづち」に充てられるけど、朝早いこの列車だけは編成が逆。


鷲羽山トンネルを抜けて瀬戸大橋を渡り、宇多津で後部に「いしづち5号」を併結。「いしづち」の自由席は余裕たっぷりだった。あらかじめ指定を取ってあったグリーン車に移り、一気に終点の松山を目指す。


8000系は1993年に予讃線伊予市まで電化開業した際に投入されたが、2004年から内外装のリニューアルが開始され、現在は全車完了している。リニューアルによって座席は四国らしさを演出したものに変わった。グリーン車の青いモケットは徳島の藍染を意識したものだろうか。

土讃線が分岐する多度津から単線となるが、振子を利かせて高速で突っ走る。観音寺までは馴染みのある光景が続き、箕浦を通過して鳥越トンネルを抜けると香川県から愛媛県に入る。愛媛県に入るのも随分久しぶり。愛媛県に入って最初の停車駅、川之江を発車し、製紙工場を見やりながら次の伊予三島にも連続停車。

伊予三島を出てちょっとした山越えをした後、新居浜伊予西条と停車していく。両駅とも3日目に寄ることとなる。

壬生川に停車し、高架に上がって今治に停車。今治を出ると右手にしまなみ海道を見渡せる。同時に自由席の利用客から自由席特急券を回収すると車掌が放送で告げる。終点の手前で車掌が自由席特急券を回収するのはJR四国ならでは。今回乗って気付いたが、8000系の「しおかぜ」「いしづち」ではグリーン車および指定席を利用の場合は車内改札が省略されていた(ただし券面と異なる座席に着席した場合は別)。

大西付近では新来島どっくが見える。クレーンがそびえる光景は壮観。


「しおかぜ」「いしづち」の最後の停車駅となる伊予北条を前にして、瀬戸内海が寄り添ってくる。海沿いを進むように見える予讃線も、松山までの区間で間近に海が見える区間は意外と少ない。


三津浜を通過後、伊予鉄道をオーバークロスして、10:06、松山着。

宇和海5号


松山で宇和島行きの特急「宇和海5号」に乗り換える。松山駅での「しおかぜ」「いしづち」と「宇和海」の乗換えは特徴的で、改札口に面する1番線の高松寄りに「しおかぜ」「いしづち」を、宇和島寄りに「宇和海」を停車させて、階段を渡ることなしに相互の列車を乗換えできるように配慮されている。
宇和海5号」にはグリーン車が連結されていないので、あらかじめ取ってあった普通車指定席に乗る。4両編成で先頭の1号車が自由席、それ以外の3両が自由席だが、自由席は意外にも盛況だった。


伊予市を出発すると上空の架線はすぐになくなる。すでに稲刈りが行われた田圃もある。
次の向井原を通過して、予讃線伊予長浜経由の旧線と、途中で内子線を挟む新線の二手に分かれるが、特急は後者の新線を進み、多くのトンネルを抜けて突っ走る。

さて、この二手に分かれる予讃線ルート、路線図を見ると新線は内子−新谷間のみが内子線となっているが、かつての内子線予讃線五郎駅から分岐して、新谷を経て内子に至る路線だった。1986年に向井原伊予大洲間の短絡ルートを建設するに、向井原−内子間および伊予大洲−新谷間に新線を建設し、両端に挟まれる内子線の新谷−内子間をルートに組み込み、新谷−五郎間は廃止されたので、現在のような形になった。内子線地方交通線だったので、幹線である予讃線編入することができなかったようだ。

松山までの予讃線は全般に平坦だったが、松山から先は山岳路線の様相を呈してくる。愛媛らしくみかん畑も見える。予讃線の旧線と合流する辺りでは、松山道の高架を目の当たりにする。「1000円高速」はJR四国を相当に脅かしている。民主党は高速道路を無料化しようとしているが、そんなことをされたらJR四国にとってはたまったものではあるまい。

伊予大洲を出ると交換駅はY字分岐となり、交換駅では速度を落として通過するようになる。


時おり宇和海が見える。

八幡浜を過ぎて山間に入りぐんぐん高度を上げる。下宇和を通過してからは下っていくが、トンネルとトンネルの間の、わずかな明かり区間で見えたリアス式海岸の景色は絶景だった。


11:30、宇和島着。

清流しまんと


宇和島ではわずか2分で予土線普通列車4820Dに乗換え。車両はワンマン気動車のキハ54形。この日はトロッコ車両を連結しており、「清流しまんと2号」として運転された。トロッコの指定を取ってあるが、それに乗れるのは途中の十川−土佐大正間のみ。

宇和島の次の北宇和島予讃線と分かれ、予土線に入る。

さて、予土線北宇和島−江川崎間は簡易線で建設されたことで知られる。予土線に入るといきなり山間に入り、運転席を覗いてみると、次の務田駅まで速度計は30km/hを動かない。


務田を出た後もカーブがいやというほど続き、50km/hぐらいが精一杯。線路沿いに咲く彼岸花を見ると季節を実感する。

キハ54は助士側のスペースが広く、前に立って前面展望を楽しめるが、そこでは外国人のおじさんが熱心に写真を撮っていた。


「ふかだ」ではなく「ふかた」。

真土−西ヶ方間で愛媛県から高知県に入る。予土線愛媛県高知県を結ぶ鉄道でありながら、江川崎以西の劣悪な線形のためにローカル線に甘んじている。


気になる駅名、半家(爆)

半家の次、十川でトロッコ車両に乗車。僕の隣には先ほどまで前面展望を楽しんでいた外国人のおじさんが座り、軽く挨拶。
予土線は「日本最後の清流」とも呼ばれる四万十川に沿っており、国鉄時代からトロッコ列車が運転されているが、今回乗車したのは、まさにその国鉄時代に登場した「元祖」トロッコ列車だ。無蓋貨車トラ45000形の改造−車番はトラ152462−で、元が貨車だけに、ゴツゴツした乗り心地が味わえる。トロッコ列車にはJR四国が新造したものもあるが、人気は元祖の方が高いようだ。



トロッコ車両から眺める四万十川の絶景。トロッコ車両に乗ると、車掌から検札のついでに記念乗車証をもらえる。

土佐大正でキハ54に戻る。以降は線形も比較的よくなり、70km/hぐらいまでスピードが出る。それでも随分早く感じてしまう。

家地川の先、川奥信号場を宇和島行き普通列車を待たせて通過し、若井に到着。ここから窪川までは土佐くろしお鉄道中村線に入るが、「バースデイきっぷ」なら別運賃は要らない。ちなみに、予土線土佐くろしお鉄道中村線の実際の分岐点は先ほど通過した川奥信号場である。


13:51、窪川着。

南風20号

:W400


窪川から宇多津まで「南風20号」のグリーン車で移動。ちょうど3時間の「長旅」。でも2000系にしても8000系にしても地元でいつも見ている列車なので、旅というより、ちょっとしたおでかけ気分。


しばらくは土佐湾を見ながらの旅が続く。

グリーン車の快適な座席に座ると朝からずっと列車に乗りっぱなしだったこともありついウトウト。

高知で「しまんと4号」を併結。高知駅は高架駅に様変わりしていて、列車接近メロディーも「アンパンマンのマーチ」だった。土佐山田を出ると四国山地の山越えに挑む。この険しい線形のため、土讃線系統の特急は高速道路に客を奪われた感がある。昔は6両編成だったと記憶しているが、今は3両ないし4両がデフォルト。しかし吉野川の渓谷を楽しめる大歩危小歩危の景色はさすがに素晴らしい。

阿波池田で「剣山8号」と接続を取り合い、香川県に入って琴平まで戻ってくるとすっかり見慣れた景色。17:01に宇多津着。ここで高知から併結してきた「しまんと4号」を切り離す。「しまんと4号」の指定を宇多津−高松間で取ってあったが、宇多津の名店「おか泉」でうどんを食べたくなったので、それには乗らなかった。

おか泉


宇多津に来たなら「おか泉」でうどんを一杯。夏限定の「肉冷やし」を。
昨今のうどんブーム、それに1000円高速もあってか駐車場には県外ナンバーがずらり。店の前は少し行列ができていたけど、10分ぐらいで中に入れた。

塩がま屋


うどん一杯ではもの足らず、宇多津駅前にある「塩がま屋」でも「肉ぶっかけ」を一杯(爆)。
あとは高松へ向かった後、バースデイきっぷが使える児島まで「マリンライナー」のグリーン車に乗り、以降は普通車に移って、いったん帰宅。