JR四国をめぐる冒険II(1日目)

2009年9月の「JR四国をめぐる冒険」以来、3年ぶりにバースデイきっぷを利用して四国をめぐってきました。牟岐線鳴門線に乗ればJR四国完乗となるので、初日は両線に乗ってその目的を果たすべく、徳島に行って来ました。

【注】今回の旅行記で掲載している列車の画像は必ずしも今回の旅行中に撮影したものとは限りません。

スタートは「マリン・パノラマ」


バースデイきっぷJR四国の窓口でなければ購入できないため、切符と今回の旅程で必要な指定券は坂出駅にて前もって調達している。
今回の旅の第一走者は3107M・快速「マリンライナー7号」。5000系の第1編成であるM1編成が先頭だった。先頭に立つ2階建て車両、5101は現在、「うどん県知事」要潤氏を起用したラッピング車両になっている。
バースデイきっぷJR西日本JR四国の境界駅である児島から利用可能であるため、最寄り駅から児島までは普通乗車券を購入し、普通車に乗車。児島で予め指定しておいた先頭車直後の展望グリーン席、1号車1番1D席に移動。この展望席は2階のグリーン席とは別枠で管理されていて、グリーン券の券面には列車名が「マリン・パノラマ」と印字される。1D席は助士側なので、運転士に視界を遮られることなく瀬戸大橋を渡る様子を存分に楽しむことができる。
高松には8:08に到着。児島から30分あまり。最寄り駅からでもマリンに乗れば30分で坂出に着いてしまうので、四国は近所。

うずしお3号


わぁいうずしお あかりうずしお大好き(
閑話休題。高松から8:23発、「うずしお3号」徳島行に乗り換え。徳島からの「うずしお4号」の折り返しで、5両編成で到着したが徳島寄り3両は高松で切り離されるので、3号は2両編成での運転。グリーン車はなく、指定席は先頭車前寄り4列の計16席があるだけだが、進行方向右側の窓側席を確保できた。ただし高徳線では進行方向左側が海側になるため、海を見たい場合は進行方向左側の自由席に移る必要がある。

高松を発車してしばらく予讃線と並走し、左に大きくカーブして同線と分かれる。栗林、屋島志度と高松近郊の駅に停車するが乗ってくる人は多くない。乗車率は指定・自由とも半分程度か。ともかく十分余裕はある。

志度を発車後、全力でオレンジタウンを通過。しかし通勤時間帯をメインに一部の「うずしお」はオレンジタウンに停車するので侮れない。さすがジェレミア卿が開拓した新興住宅地である(違
ちなみにオレンジタウンはコンパス時刻表だと「オレンジ」と略記されている。…もういいですねオレンジネタ(

志度を過ぎても徳島県までは40km弱の距離があるのだが、気分的にはもう徳島という感じがする。同じ香川県でも西讃、中讃に比べて東讃は遠くて馴染みがないので、余計にそう感じるのかもしれない。


三本松までは田園の中に住宅が入り交じる典型的な都市近郊の景色が続く。


東かがわ市の中心駅、三本松では岡山行の「うずしお」と行き違う。


三本松を出て、車窓左手に瀬戸内海が見えて高度を上げてゆくと、香川・徳島県境の大坂峠越えに挑む。しかしハイパワーを誇るN2000系にとっては苦にもせず駆け抜ける。

大坂峠を越えて山間の阿波大宮駅を通過すると、駅名からもすでに徳島県に入ったことを教えてくれる。


板野付近の蓮の大群。遠来の客にとっては強烈なインパクトを与える。


勝瑞(しょうずい)駅停車中にキハ185系の「うずしお」と行き違う。


吉野川を渡り、高架に上がって徳島線と合流して佐古駅を通過すると、線路はそのまま徳島線との単線並列となり、9:35、終点の徳島に到着。最速の「うずしお」は高松−徳島を58分で結ぶけれど、わが「うずしお3号」はとにかく停車駅が多く、徳島まで1時間12分を要している。

徳島到着前の車内放送で牟岐線はダイヤが乱れているとの知らせが入り、一抹の不安がよぎる。

牟岐線を行く

牟岐線はダイヤが乱れているとの知らせが入ったが、発車案内を見る限り次に乗る9:51発の特急「むろと1号」牟岐行は運転されるようなので、計画は変更せず牟岐線に乗ることにした。乗り継ぎまで15分ほど時間があるので、一旦改札を出て駅の外に出る。自由席だと早めに並ばないと席がない可能性があるが、指定席を確保してあるので大丈夫だ。


なぜか徳島バスの写真を撮った。


「むろと1号」は阿波池田始発、徳島線経由の列車で、9:47の定刻に徳島着。キハ185系の2両編成。徳島線牟岐線を直通する列車ではあるが、徳島でほとんどの客が降りていった。徳島線には特急「剣山」が運転されているが、それと一体になったような列車だ。逆パターンで牟岐線から徳島線へ直通する列車もあり、この場合は誤乗防止のため列車名は全区間で「剣山」となる。

ちなみに列車名は「むろと」を名乗っているものの、これに乗っても徳島県内の牟岐または海部までしか行くことはできず、室戸岬へ直接向かうことはできない。室戸岬へ向かうとなると海部から阿佐海岸鉄道で終点の甲浦まで行き、そこからさらにバスに乗り換えて行くことになる。

「むろと1号」は9:51の定刻に徳島を発車。いよいよ未踏の牟岐線へと歩を進める。指定席には同業者と思しき人をちらほら見かける。彼らもまた「バースデイきっぷ」利用なのかな?

徳島の次の駅、阿波富田付近で「鉄道高架断固粉砕!」という垂れ幕があって物騒だった。徳島駅近傍を高架化する計画があるのだが、事業には税金を投入するため反対派の人がいるようだ。

次の二軒屋で本来ならとうに徳島へ着いているはずの「むろと2号」と行き違い、この先大丈夫なのか不安になる。徳島市内はよく晴れているが、この先の区間で夜中に大雨が降っていたのだろうか?

キハ185系もJR四国の発足当初こそ主力だったけど、その後に2000系、N2000系が登場して今やすっかり二線級の車両に成り下がってしまった感がある。一部の車両はJR九州に売却されたが、そちらは水戸岡先生の手によって派手に生まれ変わっているのとは対照的。

牟岐線は最高速度こそ110km/hになってはいるが、交換駅はY字分岐なので、分岐器に差し掛かるたび速度を落としてヨタヨタと通過していくさまはローカル特急そのものの姿。

最初の停車駅である南小松島こそ定時で発車したが、次の停車駅、羽ノ浦を前にして立江駅で対向列車が遅れて待たされたため、この時点で6分の遅れが出た。
ちなみに南小松島の一つ手前、中田(ちゅうでん)からはかつて小松島線が分岐しており、廃線跡自転車道になっている。

阿波中島を通過して那賀川鉄橋で那賀川を越え、牟岐線の主要駅の一つでもある阿南でまとまった人数が降りた。徳島から24.5kmであり、JR四国は25kmまでの自由席特急券が310円なので、気軽な利用が少なくないようだ。普通列車も阿南までは1時間に1〜2本程度の本数があるが、ここから先は1〜2時間に1本に減る。6分の遅れを引きずったまま阿南を発車。


キハ185系は前面展望が効くので、息抜きも兼ねて先頭デッキに立ってみる。牟岐線阿佐海岸鉄道と一体で「阿波室戸シーサイドライン」の愛称が付いており、車窓からは紀伊水道や太平洋を臨める…と思いきやさにあらず。阿南以南では逆に山深い景色が展開する区間もある。


由岐駅を発車。


ふと下を見ると「剣山」のヘッドマークが。


牟岐線から海を臨めるのはせいぜい臨時駅の田井ノ浜付近ぐらいか。


NHKの朝ドラ「ウェルかめ」の舞台にもなった日和佐を出ると、次は終点の牟岐。ここで車掌が自由席特急券を回収する。終点間際の停車駅を出ると車掌が自由席特急券を回収するのはJR四国ならではの光景。

6分の遅れは取り戻せることなく、終点の牟岐に11:05頃到着。牟岐で乗り継ぐ普通列車4539Dは所定なら6分接続だったのにギリギリとなってしまった。対面乗り換えなのでマシだったが。


牟岐で乗り継いだ11:05発の普通4539D・海部行は1500形気動車による単行。JR四国では列車番号4000番台はワンマン運転を意味する。「むろと」からの乗り継ぎ客でたちまち席はほとんど埋まった。椅子取りゲームに負けて転換クロスシートは埋まり、ドア付近の補助椅子に座ることに。

ここから先は1973年開業の比較的新しい区間で、大小のトンネルを串刺しにして築堤や高架を行く線形となる。鯖瀬、浅川と停車しても動きは全くなかったが、終点の海部を目前にした阿波海南で地元客が大勢降りた。あと一駅、それも2分だが、転換クロスシートに空きができたのでそちらへ移った。


11:19、海部に到着して牟岐線完乗。小山が崩されてコンクリートだけが残った妙なトンネルが印象的。

阿佐海岸鉄道

海部から先はわずか二駅、8.5kmの阿佐海岸鉄道が走っている。牟岐線阿佐海岸鉄道の接続は概ね良好で、4539Dからも9分の接続で列車がある。せっかくここまで来たので、阿佐海岸鉄道にも乗っておく。


まるで牟岐線牟岐以南の延長のような姿で、大小のトンネルを串刺しにして築堤や高架を進む。高いところを行くので海もよく見える。


わずか11分で終点の甲浦駅に到着。阿佐海岸鉄道バースデイきっぷでは乗れないので、海部−甲浦の運賃270円を運転士に手渡す。
ずっと徳島県を走っていたのでまだ徳島県と錯覚するが、甲浦は高知県である。


線路は甲浦で尽きる。この先は室戸を経て、現在の土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線奈半利とつながって四国外周ルートを形成するはずだったが、もはや甲浦から先の線路を敷設する気配すらない。
かつて甲浦まで特急「うずしお」が乗り入れていた時期があり(阿佐海岸鉄道線内は普通列車扱い)、岡山への直通便もあった。


甲浦駅の駅舎。駅前からは室戸岬へ向かうバスが出ており、阿佐海岸鉄道から乗り継ぐ旅行客も少なくなかった。甲浦駅安芸郡東洋町の北の外れに位置していて、駅周辺は何も無い…。
駅では甲浦婦人会が売店の営業と乗車券の販売を受託しており、ここで海部までの乗車券と、ぽんかんゼリーを買った。


みなでのらんけ阿佐東線

徳島まで「後ろをBACK」


後は甲浦12:16発の海部行5544D、海部12:33発の牟岐行4554D、牟岐12:52発の徳島行特急「むろと4号」を乗り継いで、徳島まで巻き戻しの車窓となる。さらに甲浦から徳島まで乗車した車両の車番も見事に巻き戻しだった。


徳島運転所でのキハ47、1000形、キハ185系3並び。


「むろと」には剣山色だけでなく、四国色のキハ185系も使われているみたい。

昼食


「むろと4号」で徳島に着いたのが14:01なので、遅めの昼食だけど「麺王 徳島駅前本店」で徳島ラーメンを食べる。麺王は岡山駅前にもあって何度か食べたことがあるけど、ラーメンの値段が徳島だと480円、岡山は580円で、生卵は徳島だと50円、岡山では無料という違いがある。


徳島駅は駅ビルこそ立派だけど、ホームは昔ながらの雰囲気が漂っている。

鳴門線


徳島ラーメンを食べ終えて、徳島14:57発の鳴門線4964Dに乗る。同じホームに14:56発の特急「むろと3号」海部行も縦列で停車しており、誤乗防止のため係員が立って案内している。鳴門線列車も1500形が幅を効かせ、今や同車はすっかり徳島の顔となった。
池谷(いけのたに)までは高徳線を走り、池谷で高徳線とV字状に分岐して、鳴門線を進む。鳴門線自体はわずか8.5kmだが、途中駅はすべて1面1線なのでなんと1閉塞の単線である。
鳴門線の車内からサンジハン!!


15:35に鳴門着。鳴門線完乗、そしてJR四国完乗!


JR四国完乗の余韻に浸る間もなく、7分で慌ただしく折り返す。駅舎を撮ろうとしたもののド逆光だったのでパス。


徳島行の列車は池谷で14分も停車し、この間に鳴門行の列車と行き違い、さらに徳島行の特急「うずしお17号」を先に通す。この間を利用し、構内が特徴的な池谷駅をじっくり観察出来た。
徳島へはバースデイきっぷを活用し、「うずしお17号」で先回り。


タラコ色のキハ47が徳島線の運用に就いていた。

うどん


徳島17:29発の「うずしお24号」で徳島を後にし、高松からマリンに乗り換えて坂出で下車し、いきいきうどん坂出店で夕食。某軽小説のヒロインのネタに走ったわけではないけど肉ぶっかけ(

御注意行?


1番線を御注意行が通過します(

坂出から「いしづち28号」で高松へ戻り、高松から児島までマリンの2階グリーン席に乗る。夜に瀬戸大橋を渡っても真っ暗で何も見えず、首都圏の2階建てグリーン車に乗っているような感覚。児島からは普通車に移り、いったん帰宅。3年前と同様今回も日帰り×3回。

(つづく)